2023/12/16
本記事では、大型機械加工をテーマに、大型機械加工の種類や各々の加工に使用される工作機械について詳しくご紹介します。
大型機械加工(英語:Large Machining)とは、文字通り、径や長さ・高さが数mから10mを超え、重量が数トン~10トンを超えるような大物・長尺物のワークを、旋盤やマシニングセンタといった工作機械で機械加工する加工方法です。
大型機械加工は、加工方法と工作機械によって
というように、大きく2種類、細分化すると7種類に分類することができます。
大型旋盤加工は、NC旋盤を用いて、径が大きく且つ高さがある円筒形状のタンクや槽といった、いわゆる丸物を加工するのに適した機械加工です。把持したワークを回転させ、バイトを使って、面削り、テーパー削り、突切り、ねじ切り等を行います。
長尺旋盤加工は、大型旋盤加工に似ていますが、径が細く、より長尺なワークの加工に適しています。例えば、台形ネジやスピンドル、シャフトといった軸物の加工に用いられるケースが多いです。
大型ターニング加工も旋盤加工系の機械加工の一種で、こちらは長尺旋盤加工とは逆に、高さはそこまで無いものの径が太い、フランジ・リングといった大径ワークの加工が得意です。
大型マシニング加工は、工具は固定したままワークを回転させて加工する旋盤加工系と異なり、ワークを固定したまま主軸に取り付けた工具を回転させて加工するミーリング加工(フライス加工)系の代表です。
地面に対して主軸が垂直方向に取り付けられている立型マシニングセンタと、水平方向に取り付けられた横型マシニングセンタとがあります。
立型マシニングセンタは、省スペースで比較的小物の加工に向いているのに対し、横型マシニングセンタは、切り粉の排出性が高く、比較的大物ワークの加工に使用されることが多いという特徴があります。
大型穴あけ加工(ボーリング加工)は、マシニングセンタにドリルを取り付けることでも可能です。
ただし、垂直方向の穴あけにはボール盤、水平方向の、特に深穴加工にはBTAマシン・ガンドリルマシンといった専用の工作機械があります。
ボール盤は、主軸固定の直立ボール盤と、主軸が可動するラジアルボール盤とに分類されます。
五面加工は、マシニングセンタの一種である五面加工機(もしくは門型マシニングセンタ)という工作機械を使用します。
五面加工機は、立形マシニングセンタと同様、主軸が垂直方向に装備されていますが、その主軸を支える構造が門の形をしています。五面加工機は、通常のマシニングセンタのテーブルに載らないような大物ワークの加工を得意としています。
五軸加工も、マシニング加工の一種です。
五軸加工機は、通常のマシニングセンタがXYZの3軸で加工できるのに対し、テーブルが可動するため、複雑形状部品の加工や段取り替えを必要としないワンチャックでの加工に適しています。
ベンダーやタレパンなど製缶加工設備のみ保有している製缶業者や、機械加工設備で製缶品の追加工のみ行う機械加工業者は多数いますが、製缶加工・機械加工、いずれも内製化しているという企業は限られます。
当サイトを運営する株式会社ヤマウラは、大型製缶加工と大型機械加工の両方を行う「製缶機械加工メーカー」として、ベンディングロール、大型五面加工機、大型ターニングセンタ、NC長尺旋盤、横中ぐり盤、横型/立型マシニングセンタといった大型加工設備を多数保有しております。
ここでは、大型五面加工機、大型ターニングセンタ、NC長尺旋盤についてご紹介させていただきます。
大型五面加工機
当社が保有する大型五面加工機(門型マシニングセンタ)は、長さ8mの長尺品まで加工可能な仕様ですが、テーブルに載せたワークを移動させながら加工を行うことにより、長さ12mの超長尺品の加工を行った実績もございます。
レベルやトランジットを活用することで、平面度を確保しつつ加工することができます。
大型ターニングセンタ
大型ターニングセンタ(立旋盤)は、通常のNC旋盤でチャックできないような大物・重量物の旋盤加工に適しています。
過去には、5トンの軸受けフレームの内径加工や14トン・φ1,200の巻上機(巻き上げワイヤードラム)の外径加工を行ったことがあります。大物・重量物の旋盤加工では、ワークがぶれやすく真円度・面粗度を出すことが非常に難しいですが、長年培ってきた技術・ノウハウにより高精度に仕上げることができます。
NC長尺旋盤
こちらは、長さ7,000まで加工可能なNC長尺旋盤です。
過去には、φ5,700の送りねじ(台形ねじ)を加工した実績もございます。
当社が保有する門型マシニングセンタ、ターニングセンタの加工動画は、こちらからご覧いただけます。
また、製缶加工・機械加工の双方を知り尽くしているからこそ、コストダウン・納期短縮・品質向上のためのVA・VE提案を積極的に行っております。
例えば、長さ30m級の水門の戸当たりの製缶加工を依頼された際には、組立の際に平面度・穴ピッチ精度が重要であったため、製缶加工+機械加工で高精度に加工しました。
また、別のケースでは、既存サプライヤ―の廃業に伴う転注で、装置フレームをSS材の削り出しで製作する依頼がありました。しかし、搭載物(上に載せる装置)の重量や必要精度を確認したところ、製缶加工のみで充分であることが分かったため、結果として25%のコストダウンにつながりました。
当社が過去に、大型機械加工により製作した製品・装置をご紹介いたします。
こちらは、大型ロールの軸受けフレームです。
重量は単品で5トン程度あり、6面すべてを大型五面加工機で加工、軸孔については大型ターニングセンタにて精密機械加工を行い高い要求精度を確保しております。
こちらは、粉粒体搬送用の高さ11mのバケットコンベアです。
粉体・粒体を垂直方向に搬送するためのコンベアで、オールステンレスにて製作いたしました。広いヤードで仮組立を行い出荷することで、現地での据え付けを確実なものにできます。
ヤマウラにご依頼いただく製品・装置の多くが、単品の重量が5~20トンの大物・長尺品です。
具体的には、産業機械・装置向けの架台・フレーム、ケーシング・カバー、ワイヤードラム(巻上機)、自動機・搬送装置・コンベア、生産設備、乾燥装置、廃棄物処理装置のほか、合成床版や橋梁といった鋼構造物になります。
また、長さ10m以上、もしくは径φ1m以上の製品・装置についてももちろん対応可能で、分割可能なものであれば上限はありません。
大型機械加工なら、ヤマウラにお任せください。
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