2021/09/21
溶接定盤というものをご存じでしょうか。溶接定盤とは、ただの溶接作業台ではなく、絶対平面を必要とする組立や測定などに用いられるものです。そのため限りなく平面であることが要求されます。
ここでは、精密な組立に欠かせない溶接定盤について、定盤の基礎から詳しく解説します!
機械加工や製缶加工に興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
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定盤(Surface Plate)は、一般的に機械装置の精密な組立・検査を行うための基準平面(水平面)として用いられる装置です。
作業員が立ったまま組立をすることを想定し、架台の上に載せて使用する定盤(3Dテーブル定盤とも)が一般的ですが、大型加工品の組立を行うための巨大な平面定盤もあります。
平面形状は長方形のものが多く、表面は機械加工やきさげにより非常に精密に仕上げられています。サイズは様々で、幅200mm×奥行200mm×高さ50mmのような小さなものから、幅1,000mm×奥行1,000mm×高さ250mmといった非常に大きなものまであります。
定盤の材質は、高い平面精度を維持するために鋳鉄や石(花崗岩)製など剛性の高いものがよく見られます。石定盤の方が、鋳鉄定盤に比べ熱伝導性が低く、サビがない、耐摩耗性が高いといったメリットがあります。
組立する加工品をしっかりと固定するため、定盤表面にT溝加工やネジ穴加工をすることもあります。また、寸法を精密に測るため、例えば200mmピッチの基準線や基準溝があるものもよく見られます。
それでは”溶接”定盤の特徴は何でしょうか。溶接定盤は、その名の通り溶接の際に用いられる装置で、溶接歪みを抑えるために素材を固定する治具(クランプ)を備えた定盤のことを指します。
製缶加工などの溶接作業において課題となるのが、溶接歪みの発生により製品の寸法・精度に誤差が生じることです。この溶接歪みは、たとえ熟練の技術者であっても抑えるのは困難です。
しかし、溶接定盤を使って素材を固定したうえで溶接作業を行うと、歪みを最小限に抑えることができます。それにより製品の精密組立が可能となり、高い精度が求められる検査装置用の架台等を製作できるのです。
溶接の際よく用いられるものとしては溶接治具もあります。ロットが多い製品なら専用の溶接治具を製作する方が効率的です。しかし、少ロットのものや大型あるいは複雑形状の製品の場合は、専用の溶接治具を用いるのが非効率あるいは治具代がかさむという問題があります。そのため、そういった場合は溶接治具ではなく溶接定盤を使うのがベストということになります。
比較的大型の架台やフレームを製作する製缶加工では、特に大型の溶接定盤が必要になります。製缶加工について詳しく知りたい方はこちらから!!
>>>大型製缶加工 これだけは押さえておきたい3つのポイント
長野県駒ケ根に拠点を置く製缶加工メーカー、ヤマウラ。
当社では溶接定盤を自社で製作しており、精密な溶接・組立を得意としております。一枚の溶接定盤の大きさは、なんと2500m×7000mm!当社は、これを10台ほど保有しており、縦に並べればかなりの長尺ものも組み立てることができます。
自社製作の溶接定盤を使用しているメーカー自体も少ないですが、これほど大型の溶接定盤を10台も保有しているところは、日本全国を見ても非常に稀です。橋梁のような長尺の製品でも精密組立が可能で、焼鈍による応力除去(歪抜き)にも対応しております。
ヤマウラでは技術者の育成を非常に重視しており、有資格者やコンクール優勝者・入賞者が多数在籍しています。長野県の「溶接技術コンクール」に毎年出場しており、優秀な成績を収めています。平成29(2017)年度のコンクールでは見事優勝を果たし、全国大会へ出場している者もいます。
また、国家資格「技術士」(Professional Engineer)を取得している者が3名おります。技術士は、「科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格」(公益社団法人日本技術士会HPより)とされています。
続いて、実際に当社が溶接定盤を用いて製作した製品事例をご紹介いたします。
画像をクリックして気になる事例をご覧ください!
精密溶接・精密組立にお困りの方は、製缶加工・装置受託センター.comを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!
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