2021/09/21
架台とは、設備機器などを設置する架構(かこう)です。架構とは柱と梁で成り立っている構造のことをいいます。
材質や目的によって架台の種類は様々ありますが、設備をより効率的に稼働させるためにも、架台の製造工程やポイントを押さえておく必要があります。また、架台の対象物からその特徴を知ることで、設計依頼や選定時のトラブル回避に役立ちます。
本コラムでは、大型架台を製造する製缶加工・装置受託センター.comが、大型架台の製造工程を中心に、大型架台の特徴・用途、製造におけるポイントまで詳しく解説いたします。
架台とは、設備機器などを設置する架構(かこう)です。架構とは柱と梁で成り立っている構造のことをいいます。
主に架台は、空調機やキュービクル、制御盤、サーバー、分電盤などの設備機器や大型看板を設置するために用いられます。このことから別名「設備架台」とも呼ばれています。設備機器の中にはバックアップ用の非常用電源なども含まれますので、地震などの災害時でも簡単に壊れないように設計する必要があります。
そのため架台には、高強度、安全性、野外での耐食性・耐候性等の機能面が必要不可欠となります。
大型架台の4つの製造工程を紹介していきます(あくまで一例となります)。
架台を製造するにはまず、作成する架台の高さ、長さなどに応じて材料を調達します。
その際、アルミニウム製、ステンレス製、スチール製など作る架台に応じて材料が異なるため、要件に応じてこのような素材を選定する必要があります。
切断機を使用して、材料の切断を行います。
作成する架台のサイズに合わせて、レーザー切断機やシャーリング、タレパン、タップ、カッター、ソーなどの切断機を使用し、材料を正確に切断していきます。
アルミなどの切断は、バリや反りが発生しやすく、この後の加工や仕上がりに影響を与えることがあります。そのため、切断は架台製造の中でも重要な工程で、精度の高いカットが求められます。
架台に残っているバリの除去を行います。
バリは、切断加工などをした際に加工部できる「出っ張り」を指します。バリが残っている場合、それを取り扱う従業員や消費者の怪我、製品の劣化に繋がる可能性があります。このように、バリは製品の安全性を損ねるため、発生したバリはパワーブラシや手作業によるバリ取りで除去していきましょう。
最後に、架台の溶接を行います。
溶接は、一般的なTIG溶接やスポット溶接、レーザー溶接、抵抗溶接などあらゆる加工法を駆使して行います。またアルミ材の場合は、銅や真鍮などでも行われる「ロウ付け」でも可能です。
しかし、アルミのロウ付けはロウ材を流し込むときに、接合するアルミの母体自体も溶けることが多いため、非常に難しく、職人のウデが求められる分野でもあります。また、アルミは溶融点が低いため、アルミ溶接全般で歪みが発生しやすいです。そのため、最終的な仕上がりは職人の経験と技術が重要になります。
ここまで架台製造の基本的な工程についてご紹介してきました。それでは、ワークが大型になるとどういった点がポイントになるのでしょうか。
ポイントは大きく分けて3つあります。
1点目は、段取り作業や溶接作業に手間と時間がかかり、加工の難度が上がる点です。具体的には、溶接歪みが出やすくなる、鋼材の収縮幅が大きいため許容誤差に収めるのが難しいといった問題があります。前述の通り、一般的には治具や定盤で母材を固定して溶接・組立を行うことで、溶接歪みはある程度抑えられます。しかし、大型ワークを固定できるほどの治具や大型定盤を保有しているメーカーは多くありません。また、許容誤差に収めるためには長年の経験と技術が必須です。
2点目は、長尺・大型の板材を大量に保管できるだけのストックヤードを保有している必要があります。多くの在庫を抱えられないメーカーは、短納期に充分に対応できない可能性がありますので、メーカー選定の際は注意が必要です。
そして3点目は、大型ワークを加工することができる機械装置を持っていること。
長さ数メートルから十数メートルにもなる長尺ものを加工できる長尺旋盤や大型マシニングセンタを保有しているかがポイントになります。また、そのような材料部品・製品を移動することできるクレーンのような装置も欠かせません。
大型製缶加工についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
また、大型機械加工機の代表である五面加工機(門型マシニングセンタ)については、下記の記事で詳しく解説しております。
>>五面加工機による大型精密機械加工のポイントと加工事例のご紹介
>>門型マシニングセンタとは?立型・横型マシニングセンタとの違い
続いて、実際に当社が製造した架台の製品事例をご紹介いたします。
こちらは、検査用メインフレームです。
重量は約15tあり、製造にはこの荷重以上の性能をもつ大型クレーンが必須となります。当社は、20tクレーンまで保有しておりますので、製造が可能となりました。
また、溶接量(箇所)が多く、水平度の要求度が高かったため、大型溶接定盤(2.5×6m)に抑え込み、歪みが最小限になるよう精度の高い溶接を行いました。
当社では、長野県下でもトップクラスの溶接技術者による、確かで高度な技術力と総合力により、インフラに欠かせない高速道路や高架橋の建設時に使用される鋼製橋梁、橋梁用合成床版の製造・塗装・組立まで一貫対応を行っております。
そして、クレーン、大型5面加工機、門型マシニングセンタなど県内トップクラスの大型設備を保有する当社だからこそ、お客様のご要望にお答えし、最適な設計を提案することができます。
大型装置架台/大型装置フレームの製造をご検討の方は、製缶加工・装置受託センター.comを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!
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「高品質」「顧客満足度の向上」をモットーとして、さまざまなサービスを展開しています。